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競争法を勉強中。

飛躍

するためには、強い気持ちが必要だと教えてくれるのが、昨年の錦織選手の躍進である。

彼のコーチであるマイケル・チャンは、彼のポテンシャルを認めつつ、メンタルについては、大きな改革が必要だと考えていたという。具体的には、これまでの錦織選手は、ランキングが自分よりも上の、特にトップ3の選手と戦う際に、彼らと戦える機会を得られたこと自体に満足しているようなところがあったそうだ。チャンコーチは、こういったメンタルの問題は、必要以上に錦織選手の体を硬くすることも多く、試合前から既に試合の結果を決めてしまうくらいに、大きな問題だと考えていたという。

「トッププレーヤーを尊敬しすぎるな。」チャンコーチは、錦織選手に繰り返しこう伝えていたらしい。相手は、尊敬の対象ではなく、勝負の対象なんだ、打ち負かさなきゃいけない相手なんだ、と。錦織選手のメンタルの強化というのは、こういうところから始まり、その成果が、目を見張るような結果をもたらしていったところは、多くの日本人が見届け、熱狂したところである。実際に、全米オープンの準決勝を見届けた者の1人として、そのプレーに見られた姿勢が、ジョコビッチ選手に「食らいつく」ではなく、同選手を「ぶっつぶす」という雰囲気を感じさせるものであったことを鮮明に覚えている。

この錦織選手のメンタル強化、自分も見習わなくては、と強く思う。例えば、職場で働いている際に、エース級といわれる人と接するに当たって、必要以上に萎縮していないか。モンスターといわれる人と接するに当たって、事なかれ主義に陥っていないか。ロースクールでも、英語ができないことが気にかかりすぎて、英語を喋れる学生の意見が凡庸であると分かっていながら、ひるんでしまっていないか。

もう少し上にいきたい、と最近よく思っている。上にいきたいというのは、自分の能力を向上させて、もっと結果を出したいということである。チームで働く際には、当然、適切な協調ということも、成功のための重要なポイントとなるが、そこでいかに自分の存在感を出していくか。自分の凡庸さを正面から受け止めて、それでも積極的に動き、力を発揮していくか。こんなところを、今年は意識しながら生活していこうと思う。

・・・と、ここまで書いてきて、メンタルの改善云々の前には、まずもって自分の能力向上のための純粋な努力の積み重ねというものが必要であるな、と改めて思う。メンタルの問題以前に、能力が純粋に不足しているのであれば、それこそ、そこを強化していくことが最初の一歩であることは当然である。

おそらくは、真摯な努力の積み重ねが、ひとまずの自信を生み、それを持ってしても克服できない課題に打ち当たったときに、その課題への対処の仕方を再考するに中で、メンタルの改善というのが問題になってくるのだろう。

というわけで、自分がまずなすべきは、他人を寄せ付けないくらいの努力を続ける、ということになってしまいそうだ。情けないことではあるが、頑張ろう。